YouTube では、著作権者が YouTube 上の著作物を管理できる著作権管理ツールを提供しています。これらのツールは、創造力を発揮するために役立つとともに、クリエイターやアーティストがオンライン コンテンツを管理するのに必要となるツールやリソースとしても機能します。著作権透明性レポートでは、YouTube での著作権違反に対する措置に関する情報を公開しています。このレポートには、[誰でも利用可能]、[バランスの取れたエコシステムの構築]、[YouTube が提供する最先端のツール] などの項目が記載されています。
アイデアと創造性を自由に表現できるよう支援することは、表現する場所をあらゆる人に提供し、その声を世界中に届けるという YouTube のミッションの中核です。その一環として、情報にアクセスして制作や共有を行うことができるこれまでにないツールを構築し、ユーザーにより多くの選択肢、機会、多様な視点を提供し続けてきました。現在、YouTube にアクセスするログイン ユーザーの数は毎月数十億人に上り、2022 年に YouTube でコンテンツを制作したユーザー数は過去最高を記録しました。
また、YouTube は、定期購入ベースモデルや広告型モデルを通じて、権利者が自身のコンテンツとユーザーがアップロードしたコンテンツの両方から収益が得られる機会も提供しています。YouTube が結んだレコード レーベル、演奏権管理団体、音楽出版社、テレビ ネットワーク、映画制作会社とのパートナーシップは、クリエイティブ業界に多大な収益をもたらしています。2024 年 1 月までの 3 年間で、YouTube がクリエイター、アーティスト、メディア企業に支払った金額は 700 億米ドルを超えています。
2024 年 1 月現在、YouTube Premium と YouTube Music の登録者数(トライアル段階も含む)は、100 か国で 1 億人を超えています。YouTube は、Content ID を通じて、広告型ユーザー作成コンテンツからまったく新しい収益源を生み出しました。2022 年 12 月時点で、このツールを通して申し立てられ収益化されたコンテンツに、広告だけで 90 億ドル以上を著作権者に支払っています。
YouTube の著作権管理ツールは、ウェブフォーム、コピーライト マッチ ツール、Content ID の 3 つの主なツールから構成されており、すべてに、一致するコンテンツの再アップロードを防ぐテクノロジーが活用されています。YouTube ではこうしたツールの開発と運用に何億ドルもの投資を行ってきました。
Webform | Copyright Match Tool | Content ID | |
---|---|---|---|
対象者 | 自身が著作権を持つコンテンツがほとんど再投稿されていない YouTube チャンネルやその他の著作権者 | 自身が著作権を持つコンテンツが不定期に再投稿されている YouTube チャンネルやその他の権利者 | 自身が著作権を持つコンテンツが大量に再投稿されている映画スタジオ、レコード レーベル、著作権管理団体など |
利用資格 | 全ユーザー対象 | YouTube パートナー プログラムのメンバーまたは有効な削除通知を送信した権利者 | 大規模なツールの必要性、著作権の理解、複雑な自動一致システムを管理するためのリソースがあることを示した著作権者 |
リソース | 本人 | 本人 | 専門知識を持つ専任チーム |
アクセス | 全ユーザー対象 | 300万 以上のチャンネル | 7700 以上のパートナー |
再アップロードをブロック | はい | はい | はい |
自動化 | 中: 削除された動画との一致を検出 | 高: すべてのユーザーについて削除された動画との一致を検出し、一部のユーザー(YouTube パートナー プログラムのユーザーなど)について自分のチャンネル上の動画との一致を検出 | 非常に高い |
不正使用 | 高い | 低い | 低い |
すべての著作権者がウェブフォームにアクセスできます。ウェブフォームとは、著作権に基づく削除通知を送信するための合理的かつ効率的な方法で、80 言語に対応しています。この機能は、著作権を保有しているコンテンツが少なく、YouTube で自身のコンテンツを見かけることがあまりないクリエイターによる低頻度の使用のために設計されています。大半の著作権者にとっては、ウェブフォームのみが必要なツールです。それでも、ウェブフォームを使用して YouTube から動画を削除したクリエイターは、削除された動画のコピーの再アップロードを自動的に防止するよう YouTube に指示できるなど、強力な機能を利用できます。コピーライト マッチ ツールは、ウェブフォームを通じて削除された動画をコピーした可能性がある動画を検出し、申立人に一致した動画をお知らせします。
ウェブフォームのインターフェースの一部です。
Content ID へのアクセス権を持つパートナーは、Studio コンテンツ マネージャーのインターフェースにある「エンタープライズ ウェブフォーム」を使用して、一致した動画(下記の Content ID を参照)から著作権侵害による削除通知を作成できます。エンタープライズ ウェブフォームとは、著作権を侵害している可能性がある動画に対して大量の削除通知を送信する経験豊富な申立人のための効率的な公開ウェブフォームです。これとは別に、限られた著作権者および著作権侵害対策ベンダーも、コンテンツ検証プログラム(CVP)を通じてこのエンタープライズ ウェブフォームにアクセスできます。
クリエイターとの幅広いコラボレーションによって、著作権で保護されたコンテンツが何度も再投稿され、著作権侵害による削除通知を頻繁に送信しなければならない著作権者がいることが判明しました。これを踏まえ、より多くのクリエイターや著作権者に Content ID マッチング技術(詳細は下記参照)の機能を安全に提供するために、コピーライト マッチ ツールを構築しました。
コピーライト マッチ ツールは、ウェブフォームから有効な著作権侵害による削除通知を送信した YouTube ユーザーであれば、誰でも利用できます。削除通知が承認されると、コピーライト マッチ ツールによって、削除通知で報告された動画と一致する可能性がある YouTube アップロード動画のスキャンが開始されます。このツールにより、一致している可能性のある部分が検出されるため、ユーザーは次に行うアクションを選択できます。
YouTube パートナー プログラム(YPP)に参加しているクリエイター、または著作権管理ツール利用申請フォームに記入して高度な著作権管理ツールを必要としていることを伝えたチャンネルは、当該チャンネル上の動画が他の YouTube チャンネルの動画と一致していないかについてもコピーライト マッチ ツールがスキャンします。コピーライト マッチ ツールのこの機能にアクセスできるクリエイターは、動画を YouTube に最初にアップロードするだけで、この機能を利用できます(公開、非公開、限定公開のいずれでも可)。
コピーライト マッチ ツールでは、一致した動画ごとにユーザー情報(総視聴回数、動画をアップロードしたチャンネル、動画に占めるオリジナル コンテンツの割合、動画のフレームの一部)が表示されます。このツールは、一致している部分が動画の音声のみであるか、動画の一部のみであるかもラベルで示します。その場合は、コンテンツが、サンプリングされている可能性があるけれども、単純な再アップロードではないことになります。このインターフェースでは、一致情報をアーカイブして動画はそのまま残す、削除通知をする(オプションでコピーを自動的に防止するよう YouTube に指示する)、アップロードしたユーザーに連絡する、のいずれかを選択できます。
これは、最も複雑な著作権管理を必要とするユーザー(映画制作会社、レコード レーベル、著作権管理団体など)向けのソリューションです。Content ID の利用条件を満たしていない小規模な独立系クリエイターでも、さまざまなサービス プロバイダを通じてこの機能を利用できます。これらのサービス プロバイダでは、他の権利者に代わって毎日システムを通じて著作権を管理しています。
YouTube とその Content ID パートナーは契約を締結して、ツールの使用に関するパラメータを設定し、YouTube が Content ID を機能させるために著作権者のコンテンツを適切に使用できるようにしています。パートナーは、所有している作品の参照ファイルとともに、タイトルや詳細な権利情報などのメタデータを YouTube に提出します。YouTube は、これらの参照ファイルに基づいて、著作権者の作品のデジタル「フィンガープリント」を作成します。その後で、アップロードされた動画のコンテンツが参照ファイルのコンテンツに一致するかどうかを判断するために、プラットフォームを自動スキャンします。
著作権者やサービス プロバイダは YouTube の Studio コンテンツ マネージャー(プラットフォーム上のコンテンツの使用を管理するためのインターフェース)を使って、一致するコンテンツのブロック、収益化、トラッキングのいずれかをシステムに指示します。権利者は、申し立てに適用するポリシーを選択できます。そのままにして収益化の対象にするか、そのままにして視聴に関する統計情報を追跡するか、視聴できないようにブロックするかを選択できます。2023年7月 から 2023年12月 に Content ID で申し立てを行った権利者は、申し立て全体の 90% 以上で収益化することを選びました。Studio コンテンツ マネージャーのインターフェースは、ユーザー固有の複雑で矛盾することもある所有権に対応するために、細かく高度なアクセス制御が行えるようになっています。たとえば、特定の国に固有の権利とポリシーがあり、ある国では動画が収益化され、別の国ではブロックされるという場合があります。
権利保有にかかるデータの欠陥や競合を反映した参照ファイルによって、Content ID パートナー間で問題が発生する可能性があります。Content ID は、パートナー間の権利の競合に対処し、アップロードしたユーザーに対する異議申し立てを管理することも可能にしています。申し立てを行うべきかどうかをシステムが判断できない場合など、状況によっては手動による審査を有効にする必要があり、そのための仮申し立てキューが作成されます。結果的に、ユーザーが Content ID を使用するには相応の時間と労力が求められます。そうしないと、他の著作権者の権利が損なわれたり、合法的な表現が不適切な影響を受けたりする可能性があるためです。
データ収集に関する注記:
このレポートのすべてのデータは、特に以下の注釈がない限り、2023年7月 から 2023年12月 の間に収集されたものです。
† 2024年4月 に「スナップショット」として収集されたデータ。異議申し立て通知と Content ID の異議申し立ての割合など、一部のデータは「後続」のイベントを参照します。データの収集は H2 2023 に行われた申し立てや削除から始まっていますが、異議申し立てや異議申し立て通知はいつでも行うことができるため、その期間後も増え続けます。たとえば、2023年11月30日 に行われた申し立てに対して、2024年4月1日 に異議申し立てが行われる可能性があります。このようなデータポイントについては、より完全な全体像を把握できるよう、H2 2023 終了時から 3 か月後のスナップショットを取ることにしています。
2021 年 1 月 1 日から 2022 年 12 月 31 日までの期間を対象としたこのレポートの以前のバージョンについては、PDF ダウンロード センターをご覧ください。